意匠登録について
更新日 2024/9/7意匠権とは、工業製品のデザイン(形状や模様、色彩など)を保護する知的財産権で、創作者に独占的な使用権を与える制度です。
2020年に当社のシャーリングネックカボパン型紙を購入した方が、2023年に意匠権登録を行うという冒認出願がありました。その後、この方が他のお客様に対して警告を行ったことで、当社に多くの問い合わせが寄せられました。しかし、当社は内容を閲覧できないようにブロックされていたため、専門家に依頼し調査を行いました。その結果を以下の通りご報告いたします。
Q:型紙を購入しましたが、手作りを楽しむことはできますか?
A:はい、大丈夫です。当店の型紙は犬服販売に限り商用利用可能です。特定のデザインにおいて、複製、改変、二次利用を行うことは著作権侵害となりますが、犬服販売に限り、当社ではその利用を許諾しております。
ハンドメイドを楽しむ方は、権利の心配はなく、自由にご利用いただけます。つまり、個人で手作りを楽しむ範囲では、意匠権は関係ありません。
意匠権は商業的な目的でデザインを使用する際に適用される為、お客様が手作り品を販売したり、公に展示・販売する場合は、他人の意匠権を侵害する可能性があるので、注意が必要です。
Q:セレブドッグの型紙を使って犬服を販売したいのですが、どうすればよいでしょうか?
A: 基本的に問題ありません。
今回、「シャーリングネックカボパン型紙」に非常に似たデザインが意匠登録されました。この件について、皆様には権利の詳細をぜひご理解いただきたいと思います。
簡単に言うと、意匠権が保護するのは登録されたデザインと完全に同一の場合に限られます。デザインが一部でも異なる場合、意匠権の侵害には該当しません。
次に、「完全に同一」について説明をします。
今回の例でしたら、意匠登録された犬服と生地の色や柄、巻きロックに使用される糸の色や仕上がりの太さ、リボンの形や色、股ぐりのフリルの幅や切り替え部分の太さ、シワの出方など、すべてが一致している場合を指します。
現実的には、これらすべてを同じにして製品を作ることは非常に難しいため、意匠権侵害の可能性はほとんどありません。つまり、少しでも異なる部分があれば、それは別のデザインと見なされます。
ただし、意匠権の保有者は、デザインの「類似性」について主張する権利を持っています。これが意匠権を取得する理由の一つです。意匠権の定義は曖昧で明確ではない部分があり、その不明確さを利用して、他の方に警告を行えると考える方もいます。しかし、実際にデザインが類似しているかどうかは、裁判で裁判官が判断するものです。
裁判を行う際には、弁護士費用や裁判手続きにかかる費用、時間などが必要になります。具体的な費用はケースによって異なりますが、通常、意匠権や類似性を巡る裁判では数十万円から数百万円に及ぶことがあります。
特に、犬服のような小規模のデザインに関する類似性の裁判を行うことは、費用対効果の観点から現実的でない場合が多いです。
そして、調査結果によると、登録された意匠とは異なる作品を販売する際にも、「意匠権を持っている」と主張しているようです。これを見た方が主張を信じてしまう可能性がありますが、実際には、股ぐりにシャーリングゴムを使用した作り方に対する権利は保有されていません。そもそも意匠権は製品の外観を保護するものですので、当店の型紙を使用して製作された犬服は、安心して販売していただけます。どうぞご安心ください。
Q:警告を受けた場合、どう対応すればよいでしょうか?
A:ハンドメイドで楽しんでいる方が警告を受けた場合、相手方の行為は不正競争防止法違反に該当する可能性があります。相手方にこのページを見せて頂き、勝手に主張しているだけとお伝えください。
一方、当店のお客様が型紙を使って犬服をビジネス目的で製作・販売する場合、その商業利用に伴う法的リスクはご自身で対処していただくことになります。ビジネス上のトラブルはご自身で解決をすることになるため、このページを参考にしていただけるようご用意しました。
Q:この件はセレブドッグが解決してくれますか。
A:ハンドメイドで楽しんでいる方が警告を受けた場合は、ぜひお知らせください。当社は弁理士、弁護士と協議し、調査を依頼した結果、以下の理由から冒認出願が行われたと判断しています。
新規性の欠如
意匠法では、新規性のある意匠のみが登録可能です。2019年に発売された商品は既に公知となっており、新規性がないと判断されます。
先願主義の違反
意匠登録は「先願主義」に基づき、先に出願した者が権利を取得します。調査の結果、登録された犬服のデザインは2019年から市場に出回っており、公知のものとみなされるため、2023年に出願した購入者の申請は遅すぎる可能性があります。
真正な意匠権者ではない
購入者は商品をデザインした人物ではないため、意匠登録は無効になる可能性があります。意匠権は、通常デザインを創作した者に帰属します。
先使用権
発売元が2018年からその意匠を使用している為、先使用権はセレブドッグであると通常は考えられます。これにより、購入者による意匠登録は無効と考えられます。
公序良俗違反
登録された意匠が公序良俗に反する場合、無効審判請求の理由となります。当社の著作権を侵害して申請した意匠は、申請者が真正な権利者ではないため、無効となる可能性が高いです。
容易に思いつく意匠
専門家でなくても、そのデザインは一般的な知識を持つ人が容易に思いつくものである場合は権利が認められません。登録された全体意匠は、購入された型紙の袖型紙を使用せず、肩紐にアレンジをした服でしたので、この理由に該当すると考えられます。後身頃についたリボン部分のみ部分意匠が認められる可能性はありますが、本当に購入者が考えたデザインであるのか疑いが残ります。もし、同じデザインを過去に製作し、SNSなどで公開している人がいましたら、日付を確認し、権利の正当性を確認して頂けましたら助かります。
その他に考えられる不正と違法性
1. 著作権侵害の問題
意匠登録されたデザインは購入された型紙デザインと似ていまして、著作権法では、創作者の許可なく著作物(この場合、型紙)を改変、複製、または二次利用することは著作権侵害にあたります。特に、当社のマニュアルに記載されている作り方は当社独自のものであり、これにも著作権が認められていますが、意匠権の申請時に利用されています。
著作権侵害についての補足
①著作権法においてアイデア自体には著作権が認められず、具体的な表現に対してのみ著作権が発生する原則があります。 具体的には、型紙の場合、「犬服を作る」というアイデアそのものには著作権はありませんが、その型紙の形状、線の配置、パターンなど、型紙に表現された具体的なデザインや構造が著作権の対象になります。
つまり、型紙そのものに描かれている具体的な形や構造、手順などは著作権によって保護され、他人がその表現を許可なく改変・複製した場合、著作権侵害にあたる可能性があるということです。
②当社の商品(例えば型紙やマニュアル)を元に、自分で描き直した場合でも、それが元の商品と実質的に同じデザインや表現を保持している場合は、著作権侵害になる可能性があります。
●著作権は具体的な表現を保護します。つまり、たとえ商品(型紙)を自分で描き直したとしても、元の商品と似た構造やデザインであれば、それは元の著作物の「二次的著作物」とみなされることがあります。
●二次的著作物は、元の著作物の許可なしに作成して利用することはできません。したがって、許可なく描き直したデザインが元の商品に依存している場合、著作権侵害に該当する可能性が高いです。
2. 不正競争防止法違反の問題
相手方が意匠権を取得し、それを根拠にハンドメイドを楽しむ人々に警告を行う行為は、不正競争防止法に抵触する可能性があります。この法律は、公正な商業活動を守るために、以下のような行為を違法としています。
●虚偽の権利行使: 実際には権利が存在しない、または無効な権利を根拠に第三者に圧力をかける行為。相手方が不正に意匠権を主張し、ハンドメイド愛好者に対して警告を行うことは、不正競争防止法の「虚偽表示の禁止」や「取引の妨害」に該当する可能性があります。
●不当な警告行為: 実際には正当な権利を持たないのに、権利があるかのように装って他者の活動を制限する行為も、不正競争にあたる可能性があります。
不正競争防止法についての補足
不正競争防止法違反の代表的な例をいくつか紹介します。
1. 虚偽表示の禁止(第2条1項14号)
他社の商品やサービスと誤認させる表示を行うことが違反となります。たとえば、実際には特定の品質や原産地ではないのに、それを偽って表示する行為です。
2. 商品形態模倣(第2条1項3号)
他人の商品やサービスと非常に似た形態を模倣して、販売開始から3年以内に模倣品を販売する行為。
3. 営業秘密の不正取得・利用(第2条1項4号〜9号)
他人の営業秘密(技術情報やノウハウなど)を利用、または第三者に開示する行為。
4. 他人の商品等と混同させる行為(第2条1項1号)
他人の商品や営業活動と混同させることで、誤認を招く行為です。具体的には、他社の商標や商品名、パッケージなどを模倣することが該当します。
5. 不正な比較広告(第2条1項12号)
自社の製品やサービスが他社のものよりも優れていると、根拠のない主張をする比較広告を行うこと。
6. 不当な警告行為(第2条1項13号)
実際には権利がないにもかかわらず、他者に対して権利侵害の警告を行い、取引を妨害する行為。
まとめ
不正競争防止法違反は、商品の形態や営業秘密、虚偽表示などさまざまな形で発生します。いずれも、公正な競争を阻害し、消費者や市場に悪影響を与えるため、法律で厳しく規制されています。
Q:無効審判請求を行いますか?
A:現在、相手方に今回の件について連絡し、対応を求めている段階です。2つの意匠登録に対して無効審判請求と権利侵害による損害賠償を弁護士や弁理士に依頼する場合、相手方への請求が非常に高額になるため、最も負担が少ない解決方法として「権利放棄」を提案いたしました。これは、権利を保有するために必要な更新料を支払わないことで、権利が失効するというものです。
私たちは、争いを大きくする意図は全くありません。お客様にも適切な知識を持っていただき、このような不正に対して正しい対応をお願いしたいと考えています。
今回の事態を受け、専門家に当社のサービスを確認してもらい、今後、トラブルを減少させるために、専門家の指導の下、適切な対応を検討いたしました。
当社の商品は犬服の販売に限り商用利用を許可しています。それ以外の用途、特に商業利用をお考えの場合は、必ず事前に当社へのご連絡と著作物の利用許諾が必要です。当社の商品を参考に、ご自身で製作をされる場合も同様です。
許諾はサイトから行えますので、以下のリンクをクリックして申請手続きをお願い致します。
>>許諾申請はこちら(準備中)